2和泉層群の化石
淡路島の白亜紀の地質
兵庫県淡路島の南部地域は、西は四国松山市の南から、淡路島南部をとおって、東は紀伊半島の和泉山脈にいたるまで、
中央構造線の北側に沿っておよそ300kmにわたって泥岩・砂岩・礫岩の互層が続いています。この地層を和泉層群と呼び
中生代白亜紀後期(約7000万年前)の地層からできていいます。
ことに淡路島の和泉層群ではアンモナイトや貝類またウニやカニ・エビなどの多彩な生物群の化石を産出しています
また近年、熱心なアマチュア研究家によって、クビナガリュウやモササウルスまたウミガメ類の海生爬虫類、また
翼竜や植物食恐竜(ランベオサウルス亜科)までも発見されました。
これらの産出する化石によって、白亜紀末7000万年前の海の生物の一端を知ることができます。
淡路島の和泉層群
淡路島の和泉層群は、砂岩・泥岩およびこれらの互層からなり、一部に礫岩をはさんでいます。
堆積した時代は、中生代白亜紀後期ヘトナイ世と考えられており、カンパニアン階からマストリヒチアン階下部に対比されています。
層厚は、7,000mに達し,北部の領家花崗岩類や泉南酸性火砕岩類を不整合におおっています。構造的には、
ほぼ東北東―西南西の走向で南に傾斜した単斜構造となっており、つまり南部ほど上位の(新しい)地層が重なっています。
淡路島では、上・中・下の三つの亜層群に大きく分けられ、それぞれが岩石の特徴から表−1のように区分されています。
下部亜層群は西淡町(南あわじ市)阿那賀から湊にかけて、その主要部が分布しており西淡層・阿那賀層に二分されています。
ディディモセラス・プラビトセラス・パキディスカスなどを多く産します。
中部亜層群は南淡町福良および阿万から洲本市市街地および由良町にかけて、淡路の和泉層群のなかで
ももっとも広い分布域をもっています。北阿万層と灘層に分けられ、化石は北阿万層の一部地域より産出し
ノストセラス・ゾレノセラスなどを見ることができます。恐竜化石の発見もこの地層からです。
上部亜層群は南淡町仁頃から黒岩にかけての区域に分布し、下灘層ともよばれ、下灘細砂質シルト岩層と
下灘白色砂岩層に分けられています。化石はネオフィロセラス・パキディスカス・ゴードリセラス・アナゴードリセラスなど
多くのアンモナイト類、またエビ・カニそれに多くの貝類を産出し淡路島のなかでも最も多彩な生物群をみることができます。
新 古 |
和 泉 層 群 |
上部亜層群 | 下灘層 | 下灘白色砂岩層 |
下灘細砂質シルト層 | ||||
中部亜層群 | 灘層 | |||
北阿万層 | ||||
下部亜層群 | 阿那賀層 | 志知頁岩層 | ||
鎧崎礫岩層 | ||||
西淡層 | 湊頁岩層 | |||
津井礫岩層 |
表−1 淡路島の層序
淡路島の和泉層群で採集した標本を下記のように分別し展示しています