兵庫県の化石

我が故郷の兵庫県産化石を紹介します。

兵庫県には古生代から新生代の色々な地層が分布していますが、

これまでに自採等で入手できた化石は別表1にあげています。

古生代ペルム紀の石灰岩が県内各地に点在していますが、

これらよりフズリナ等の有孔虫類の報告が古くより知られていますが、未だに入手できていません。
また、ジュラ紀の微化石含有地層以外の分布の報告も知りません。

兵庫県は、北の日本海 また南の瀬戸内海・紀伊水道をへて太平洋にも開いている。面積は全国の都道府県で第12位で、
およそ8390平方km、奈良県と京都府をあわせたほどの広いさです。

 地質から見ても古生代の石炭紀・二畳紀から新生代の第四紀更新世の色々な時代の地層が見られます。
これらの地層からは色々な化石が発見されています。

 県中央部には各地に点々と小規模な石炭紀・二畳紀の石灰岩の岩体がレンズ状にははさまれた地層があり、
これらからは当時の海に棲んでいたサンゴや紡錘虫(フズリナ)が、またこの時代のチャートと呼ばれる岩石からは、
コノドントという魚類の仲間の部分化石や放散虫も見つかっています。このあと中生代三畳紀になって、
同じく県中央部には海の広がりがあり、ここに堆積した御祓山層群と呼ばれる地層には多くの貝類
またまれにアンモナイトの仲間なども見つかっています。同じく白亜紀になると篠山市近郊に
湖に堆積したと考えられる地層(篠山層群)の広がりが見られ、カイエビの仲間(エステリア)などが見つかっています。
この篠山層群から2006年8月 地元丹波市のアマチュアによってティタノサウルス類の恐竜が発見されました。
 

白亜紀も中期になると、西日本一体に火山活動が活発になり県内各地には火山性の岩石がおおうようになってきました。
後期になって、県南部の淡路島の南の地域には西の四国の愛媛・香川から海の湾入が始まり、
この海には和泉層群と呼ばれる地層がおよそ7000mにもおよぶ厚い泥や砂の層が堆積しました。

 この淡路島の和泉層群にはアンモナイト・貝類・ウニ・ヒトデ・カニ・エビ等々の多彩な生物群が発見されています。
また脊椎動物として魚類・カメ・スッポン・大型の海生は虫類モササウルス類やエラスモサウルス類など、近年(2004)になって

翼竜(アリスダルコス類)植物食恐竜のカモノハシ竜の仲間ランベオサウルス亜科の発見もあり大きく注目されています。

 このあと新生代始新世から漸新世になって今の瀬戸内海あたりに海域が広がり神戸市須磨区や淡路島北部には
その当時の貝化石が見つかっています。須磨区から三田市にかけて神戸層群と呼ばれる淡水性の堆積物が広く分布していますが、
これらからは多くの保存の良い植物化石をみることで古くから全国的に知られており、
近年、県立人と自然の博物館の先生方によって、この淡水域の土壌堆積物から大型哺乳類
サイの仲間ザイサンアミノドンバクの仲間アントラコテリウム)などが三田市近郊の造成地から次々に発見されています。

 一方、県北部の但馬地方では新生代中新世になって北から海域の広がりがあり、亜熱帯気候を示す貝類化石が
関宮・村岡などの地域で見られ、香住では淡水湖が出現し、
タニシやイシガイなどの淡水棲貝類や植物化石が見つかります。
香住では近年この湖の土壌堆積物から多くの動物足跡化石(シカ・ゾウ・鳥など)が発見されています。

2005年10月ゾウの臼歯の化石も発見されました。これは現在発見されたゾウ化石で最も古いものとされています。

 また、鮮新世になって鳥取県との境氷ノ山の北麓温泉町海上では淡水性の堆積物からキノコバエやハチの仲間・アリの仲間などの
昆虫化石をみることができます。

 鮮新世も後期になると瀬戸内地方では再び沈降が始まり湖沼の環境が広がりを見せ、ここに堆積した大阪層群と呼ばれる地層からは、
アケボノゾウの仲間アカシゾウやシフゾウまたシカなどの化石が明石海峡の海底から見つかります。

 更新世になると兵庫県地域は、ほぼ現在の地形と変わらない状況になり明石や西宮でこの時代の海に棲んでいた貝類や、
ウニなどの化石を産します。

 およそ6000年前縄文海進という海域が広がったときがあり、播磨地方の海岸線の平野部の地下ではその当時の貝類を産します。

この様に兵庫県は古生代から新生代の地層が各地にあり、各時代の多種多様の化石を産出し日本列島の古地理の
移り変わりの多くの情報を与えてくれるすばらしい地域です。



1

産地

地質時代

地層名

主な自採及び所蔵化石

1

養父郡大屋町御祓山

中生代三畳紀

御祓山層群

貝類

2

淡路島南部 各地

中生代白亜紀

和泉層群

頭足類・貝類・棘皮動物類・魚類・海生爬虫類・甲殻類・サンゴ類・植物・生痕・恐竜

3

神戸市須磨区白川近郊

新生代古第三紀漸新世

神戸層群

植物・淡水棲貝類

4

淡路島北部 各地

同上

岩屋累層

貝類・コケムシ類

5

姫路市南東部

不詳

不詳

植物

6

但馬地方 各地

新生代新第三紀中新世

北但層群

貝類・淡水棲貝類・棘皮動物・

甲殻類・植物・魚類

7

温泉町海上

新生代新第三紀鮮新世

照来層群

昆虫・植物

8

神戸市垂水区舞子 他

新生代第四紀洪積世

大阪層群

貝類・棘皮動物

9

明石海峡海底

同上

同上

哺乳類

10

明石市

同上

西八木層

貝類


標本の展示に分類学的な順番を考えていませんので

見にくいところがあるかと思いますがお許し下さい


                

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