長崎県伊王島層群の化石
この地はこれまで4度採集に入った。しかしただ二ヶ所の採集フィールドだけしか記憶に残っていない。
伊王島と云えば古第三紀のオウムガイの産地として化石マニアには知れ渡り、多くの採集者が訪れる。
当初、この地を訪ねたのも、確かにオウムガイが目的であったことは確かだが、現地に行って見れば古第三紀始新世後期から漸新世前期の貝化石をはじめとする色々な生物群の保存のよい化石がたやすく採集できると解かり、遠隔地であるにもかかわらず再訪している。
特に伊王島の千畳敷は大変魅力ある産地である。確かに、露頭表面上に見える化石といえば、2から3種の二枚貝だけしか見えないが、海岸の礫浜の下に隠れている化石床には何が出ても不思議でない。訪れる度に新しい発見がある。
この化石床ではサメの歯・魚・爬虫類(スッポン類)等の脊椎動物も少ないが見ることができた。ことにサメの歯についてはこれを目的として採集をすれば色々な種が採集できると思われる。これまで貝類の種類を増やすことに重きを置いて採集してきたため次の機会があれば是非ともこの化石床に一日中挑戦しなくてはと思う。
沖ノ島の畦海岸 オウムガイを多産することで有名である。4度訪ねて標本の良し悪しはあるが毎回見られた。二枚貝類もフェラドミアなど合弁で殻こそないが変形の少ないものも採れ、ベネルカルディア類は殻付合弁の良品が多産する。
また巻貝類も両産地でおもしろいものが、数多く見ることができるが、母岩のコンクリーション化が強く、適度に風化しているものを割ることが必要である。硬い母岩をそのまま持ち帰りクリーニングするのも良いが、相当な根気と時間が必要だと思う。
伊王島(千畳敷海岸) 2004/10/9撮影 沖ノ島(畦海岸) 2004/10/10撮影
西彼杵階 | ||||
古 第 三 紀 |
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漸 新 世 |
間瀬階 | |||
伊 王 島 層 群 |
大明寺層 | |||
船津階 | 船津層 | |||
始 新 世 |
沖ノ島階 | 馬込層 | ||
沖ノ島層 | ||||
高島階 | 高 島 層 群 |
端島層 | ||
二子島層 | ||||
赤崎階 | 赤 崎 層 群 |
香焼層 |
採集標本一覧
参考資料 1. 北西九州・唐津炭田の古第三系杵島層の岩相変化と化石群集からみた堆積環境 井上英二 地質調査所報告 第245号 昭和47年12月
2. 北部九州炭田古第三系の地質と化石(概説) 冨田宰臣・石橋 毅 九大理研報(地質) 16巻2号 99‐142頁 8-18図版 1990年1月
3. Paleogene Molluscan
Assemblages of the Takashima Coal-Field,
Nagasaki Prefcture, Northwest Kyushu, Japan Yasuhiko Kamada
Saito Ho-on Kai Spec..
Pub., No.3 1991 (Proceedings of Shallow
Tethys 3, Sendai,1990)
4.日本化石集 第56集 九州炭田地域の第三紀貝化石
5.Illustrated Handbook of Japanese Paleogene
Molluscs 大山 桂・水野篤行・坂本徹 1960(日本地質学会)